2023年4月25日 Netflix Special公開。オプラ・ウィンフリーとともに舞台に上がったミシェル・オバマが、自身にとって2冊目のベストセラーとなった著書を振り返り、本のテーマであるさまざまな困難や人生の教訓について語る(Netflix Webサイト引用)。
待望の2作目 ミシェル・オバマ著書:The Light We Carry
このNetflix動画は2022年11月に出版された、ミシェル・オバマの新刊『THE LIGHT WE CARRY 不確実な時代を生き抜く』を元にトークを繰り広げるわけですが、どうやら日本語の翻訳版はまだ出ていない模様。株式会社KADOKAWAが独占的翻訳権を得たとのことで、日本では2023年の秋に出版されるそうです(プレスリリース)。
初版が275万部ですって・・・・凄すぎませんかw 日本の書籍は5万部売れたら万々歳のはずなので、初版が桁違いすぎて、言わずもがなの世界トップですね。
普段はKindleで本を斜め読みしているのですが、久しぶりに紙の本で読もうかなと思ったのがこの本でした。
1冊目の「Becoming マイ・ストーリー」の時も思ったのですが、世界中見渡しても、ここまで全人類の老若男女に対して刺さる本を書かなければいけない人なんていないので、細心の注意を払いながら書かれているのが分かります。
全体的に誰が読んでも分かるように、共感性を重宝しながら言語化されているので、エピソードや文章がかなりモッタリしている印象。個人的に、こってりし過ぎて苦しい箇所が多々ありました。そして、彼女の生い立ちや幼少期、何が影響与えたかの過去よりも、今現在何を考えていて、これから未来どうしていくのかのかを知りたい対象なんだな、と改めて実感した次第。過去エピソードが重めです。でもこの過去エピソードこそが、読者との共感性や繋がりを育てているはずです。女性として、母親として、ワーキングマザーとして、アフリカ系アメリカ人として、元大統領夫人として、民主党として。
誰が読んでも良いようにしている、裏を返すと、読み手層によっては全く刺さらない箇所も多々あるので、2章飛ばす、とかも出て来るはず。各章の連続性があるわけではないので、そういう読み方が出来る本です。(ただの自己フォローかもしれないw もちろん、出来るだけ最初から最後まで読むに越したことない)
2022年出版ツアーの最終日をNetflix配信
そんなポップな感じで、さらっと本を読んだあと、配信初日にこの対談を見ました。
これはNetflixのために撮ったわけではなくて、2022年の出版ツアーの一部。ラインナップは以下の通り。オプラは最終日でした。
- Washington, D.C. (Nov. 15 & 16): Ellen DeGeneres
- Washington, D.C. (Nov. 17): Elizabeth Alexander
- Philadelphia (Nov. 18): Gayle King
- Philadelphia (Nov. 18): Hoda Kotb
- Atlanta (Dec. 2 & 3): Tyler Perry
- Chicago (Dec. 5): David Letterman
- Chicago (Dec. 6): Heather McGee
- San Francisco (Dec. 9): Conan O’Brien
- San Francisco (Dec. 10): Tracee Ellis Ross
- San Francisco (Dec. 11): Michelle Norris
- Los Angeles (Dec. 13): Oprah
いま幸運にもアメリカに住んでいるので、海外コメディアンが大好きな私としては、DCのエレン、シカゴのレターマン、サンフランシスコのコーナンはめちゃくちゃ行きたくて、本当にチケットを取る勢いでスタンバイしてましたが、ロケーションや日程、仕事や家族の関係で叶わず。Netflixさん、Oprahだけと言わず、他も撮影してない?ねえねえ。
さておき、これまで何度もミシェルオバマのスピーチや対談は見てきましたが、年齢と回数を重ねるごとに、どんどん言葉に体重が乗っかってると言いますか。過去一、言葉にパワーが宿っていたように思います。とてもストレートで心から話しているのが伝わるプレゼンスでした。この本のメッセージでもありますが、コロナの暗闇を越え、パワーを取り戻すといったメッセージは十分に演出されていたように思います。
あと、ここ数年で更に輝きを増したような。還暦目前で活動の幅を広げながら、どんどん綺麗になっていく姿こそが、たくさんの女性に勇気を与えているはずです。
女性ならではの表現やメッセージ
本の中には沢山の良い段落やメッセージが沢山詰まってましたが、刺さった言葉はワンフレーズ:
“The unknown is where possibility glitters“
使い倒された「未知こそ可能性がある」の表現を「未知こそ可能性が輝く」、そして「Shine」を使わずに敢えての「Glitters」。女性らしさ全開、しなやかさ、キャッチーさ、そしてキラキラ感が生まれるなあ、と。彼女らしさが出ていて、好きな一文です。
対談動画でも女性しか持てない、しなやかさ、意志の強さ、愛情、表現がふんだんに散りばめられているので、内容はもちろんですが、語気や表情、体の仕草に注目しながら観ることをお勧めします。
そして対談を通じて、私が好きだった彼女の言葉は、
Be patient with yourself. It takes a lifetime to find your voice. It is a process. It is an evolution. You will not be all that you’ll be until you’re our age and you lived a little bit.
自分に対して忍耐強くいることです。自分の想いや生き甲斐を見つけるのは生涯かかります。これは工程であり、且つ進化なのです。私たちの年齢になるまで少し生きてみなければ、なるべき自分にはなれません。
敏腕オプラ・ウィンフリー
アメリカのトークショーホスト、MCと言えば、オプラウィンフリー。彼女の事を語り出したら長くなりそうなので、またの機会にするとして。
今回の対談を見て、腕や技術は勿論の事ですが、何よりもこの壮大なキャリアを生み出した存在感こそが、相手に安心感を与えているのが伝わりますね。もう居るだけでいいんですよ。あとはゲストが安心して、自ずと自由に気持ちよく話すだけでしょう。
これは予想でしかないですが、彼女は昔から相槌にめちゃくちゃ気を遣っているように思います。
トークショーはまた別ですが、こういうプレゼンのような対談の時は、声の相槌はほぼしません。相手がノッている時や大事なメッセージを話しているときは邪魔しない。しっかり聞いてます。そして、質問するときは下調べや情報を盛り込み(相手へのアピール)、自分の意見や感想もしっかり絡めて、確実に相手が答えを言うように誘導します。極論、YesorNo、または答えが一つしかないような聞き方が多い印象。そして、要所要所で褒めちぎって観客の拍手を誘って流れを作り、話し方の抑揚で全体の強弱をつけるところが上手いなー!っていつも思います。
あと今回は淀みなく、無理なく、本の章の順番通りに話を運んでるのは神業でした。感動です。
賛否両論あろうとも一流な事は変わりない。私はこのオプラのパフォーマンスが好きです。なんだか、オプラもまた綺麗になった気が。今年69歳。70歳目前にはとても見えないし、聞こえない。30代の時からほぼ変わってない滑舌とトーク。
女性は若さが武器とされがちですが(対談でもこの話はあります)、この2人を見ているとそんな事はない、確実に年齢を重ねたいまが1番美しい。経験や苦労の分、華やかに歳を取れると信じて前に進むのみですね。