The Super Mario Bros Movie 映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」感想 :その場を楽しめれば、それだけでいい

任天堂とイルミネーションが贈る、スーパーマリオブラザーズの世界を原作とした新たなアニメーション映画。本作はイルミネーションの創業者であり最高経営責任者のクリス・メレダンドリと、任天堂の代表取締役フェローである宮本茂がプロデューサーを務めており、ユニバーサル・ピクチャーズと任天堂が共同出資し、ユニバーサル・ピクチャーズによって全世界公開されます。(公式Webサイトより引用

From Nintendo and Illumination—creator of the global blockbuster Despicable Me, Minions, Sing and The Secret Life of Pets franchises—The Super Mario Bros. Movie is produced by Illumination founder and CEO Chris Meledandri p.g.a. and by Nintendo’s Representative Director and Fellow Shigeru Miyamoto, the creator of Mario, after more than six years of close bond and discussions between the two. The film is co-financed by Universal Pictures and Nintendo and will be released worldwide by Universal Pictures.(The Super Mario Bros Website)

感想:楽しかった、それでいいじゃないか、いまを楽しむべき!

先月からこの記事を書き始めていたにもかかわらず、配信ドラマにハマったり、リトル・マーメイドの実写版に熱くなったりしてしまい、遅れに遅れたタイミングになりました。備忘録です。

マリオは先月、アメリカで公開後少し経ったタイミングで見にいったにも関わらず、映画館は家族連れで盛り上がってました。実際いま公開後2ヶ月経っても、まだ近所の映画館で上映しています。繰り返し見に行っている層が厚そうですね。

私はゲーマーでもなく、正直マリオのゲームは、たまに友達の家に行ってやったことがあるくらいで、その中でも一番やったのはマリオカートかも?ぐらいの初心者でもないレベルの接点です。

そんな私でも、世代も相まってか、登場人物は分かり、設定はイメージでき、何より聴き慣れたあの音楽はノスタルジーを感じます。

(「世代も相まって」っていうことが増えたな・・・きっと色んな作品が私たちミレニアル世代を対象にしていること、主導で制作しているスタッフ陣の層であること、何より色んなカルチャーを生んだ世代だからでしょうね。アナログ過ぎず、今ほどオンライン過ぎない、メインからサブカルまでのエンターテインメントの幅が広がり始めた時期、ラストリゾート感漂う世代なのは否めないはずです。)

さておき、とてもお気楽な気持ちで観にいきましたが、めちゃくちゃ楽しかったです。大満足です。観ている間「わーい!」って気分になります。遊園地に行った時と同じで、乗り物乗って「超楽しかったー!」って降りた後に何も残ってない、そんな感覚です。映画でそんな体験も久しぶりでした。

深く考えるものではなく、映像と共に「いまを楽しむ」みたいな感覚です。ゲーマーでなくても、マリオがよく分からなくても、何も考えずに観に行けば?というノリでおすすめします!

しかも、この作品はお見事な約90分。最近の映画は長編になりすぎなので、このちょうどいい尺配分にも大満足でした。

評価分裂は当然 映画というよりは映像アトラクション

評論家が辛口だの、ゲーマーとしては賛否両論あるだの、いろんなネガティブな話を耳にしてしましたが、この作品に関しては、ただ「見て楽しかった、それでいいじゃないか」と思ってます。

これは映画というよりは、映像のアトラクションにちょっとしたストーリーがついている、といった感覚で見るのが合っていると思います。なので、映画としての解釈は必要ないです。

一体みんなマリオに何のストーリーを期待していたのでしょう?どんなキャラクター設定を描いていたのでしょう?マリオは生まれた時から、そこまで背景はないはずなので、何をどうしたって後付けになっちゃいます。

似たような論争はアメリカでもありましたが、リトル・マーメイドと同じで公開されればみんな忘れてました。アメリカでもマリオへの愛情がひと塩であることは伝わり、マリオは日本を代表する国民だなあとしみじみ思います。

ストーリー変更と映像の気持ちよさ

自然なストーリー変更、女性リーダー像のピーチ姫

ディズニーがダイバーシティーや個人の権利に拘り過ぎて、ストーリーが捻れまくっていることに憔悴している側ですが、その現代社会事情観点では、今回のマリオは無理なくスッと入ってきました

設定の変更としては、その昔のゲームではピーチ姫は捕らえられている側ですが、今回の映画では戦士側になります。捕らえられているルイージをマリオとピーチ姫が力を合せて行く構図が、とても自然でした。(調べていると、ピーチ姫が自分のお城を持っている設定のゲームもあるそうで、無知ですみません!)

初期ゲームの構図のまま、マリオとルイージでピーチ姫を救いにいくとした場合、「なんでピーチ姫を救うか」を説明してくれないと理解が難しく、その理由を組み立てるのは大変です。

でも「弟のルイージを助けるんだ!」は、シンプルに家族を助けにいく話になるので、説明不要でスッと感情移入できます。私としてはこのストーリー変更の方が寧ろ見やすくて、いい塩梅に感じました。

また、ピーチ姫の国があり、統治リーダー役としての設定になっているので、マリオたちを引き連れ、戦いに行く流れは私も自然についていけました。ただの、元気な、根拠のない、しゃかりきな女の子に振り回されるマリオにならない感じが好きです。

ピーチ姫の男まさり過ぎない女性らしさや、キノピオ仲間を母性で包み込んでいる感じも好きで、調べていると任天堂・マリオ原作者宮本茂もその意図があったようで嬉しく思いました。

ピーチはやっぱり、ゲームでは助けてもらうシンボルです。たまに、『スーパーマリオUSA』なんかではプレイヤーとして登場しているし、パラソルを持って冒険するピーチのゲームとかもありますけども。
どちらかと言えば守られるほうのお姫様なんですけど、今回はキノピオのために戦うピーチにしましょうと。エレガントなお姫様でありながら、凛々しいピーチというのを目指しました。

NINTENDO DREAM WEB

ピーチ姫がマリオをトレーニングさせるシーンはゲームっぽい感覚で、見ているだけで楽しかったです。

気持ち良いアニメーションと秀逸な音楽

また、ディズニーとはまたタッチの違う、イルミネーションのアニメーション質感が気持ちよくて、かなり好みでした。

何も考えずに、ずっと観てられる映像。水族館に行って、大きな水槽にいるたくさんの海の生物を眺めているような、そんな無の気持ちにしてくれる、透明さと洗練さがありました。マリオカートのレインボーロードはワクワクしかないです。映像のASMR的なツボかもしれません。

そして、一番刺さったのは何よりも音楽。今改めて聞くと、なんて秀逸且つキャッチーな音楽なんだ!!脳内に刷り込まれているとはいえ、やっぱりアイコニックな音楽です。そこに一番心が躍ったように思います。

濃厚なキャストラインナップ 好みだったのはピーチ姫

声優陣も割とフィットしていて満足したので、誰かな?とエンドロールの声優ラインナップ見た後の率直の感想は、「またクリス・プラットかい」です。いまクリス・プラット以外にいないのか?って思うほど引っ張りだこですね。ジャック・ブラックやセス・ローゲンなど、コメディに強い脇役を置いているところも安心感ありました。

(何も情報入れずに見にって、エンドロール見て、ああ!あの人か!って発見するのが私の映画の楽しみ方です)

特に私の好みは、アニャ・テイラー・ジョイのピーチ姫。声がピーチ姫に凄く合っていて、高すぎず低すぎず落ち着いたリーダー雰囲気もあり、耳障りも良くて、見ていて気持ちよかったです。これからも幅を広げて欲しいなあと思います。

いつも通り、映画見終わったあとインタビューを漁りましたが、各キャストが自分のキャラクターやストーリー変更についての想いを熱く語っていて面白いです(ここがリトル・マーメイドと大きく違う印象・・・)。キャラクターがどう描写されていて、どういった点に共感できるかの内容も話してくれています。

アドリブや挑戦が許されたレコーディング環境でもあり、このプロジェクトを楽しんでいたのが伝わります。

マリオの生みの親 任天堂・宮本茂の想い

キャストと併せて、宮本茂のインタビューも探していたら、日本とアメリカの両方、色々なところでコメント残していました。

その中でも印象的なのは、マリオ映画化の話はずっとあったものの断っていたこと。映画化を決断できたのは、イルミネーションのクリス・メレダンドと出会えたこと。完成までに、足掛け約6年かかっていること。慎重かつ大胆な力の入れっぷりです。任天堂が製作側の名前に連ね、イルミネーション側と上手く連携できたのは功を奏しましたね。

このインタビューは割と詳細に話されていますが、新キャラの扱いや音楽など、設定に縛りを作あるあたりが、日本の職人らしさがあり、シンプルで好きです。

映画『スーパーマリオ』宮本茂氏インタビュー。約6年かかった制作の裏側、マリオとルイージの設定、次回作など、制作中に刺激を受けたことやこだわりのポイントなども聞いた

最後に、この一言を残されていますが、これがこの映画の全てだと思います!

作る人によっては、「考えるきっかけになるものにしたい」とかいろいろあると思うんですけど、マリオは「ああ楽しかった」って思える時間にしたいんです。ゲームでも、映画でも。

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隠された伏線や小ネタ

私みたいにマリオ詳しくない人は、色んなまとめ動画を見てから見に行くのも面白いかもしれません。

私は後から、ここら辺の動画を見てそうだったんだー!と発見すると共に、製作側とファンの愛情にも感動しました。

作り手もプレーヤーも含めて、知っている人が全員でずっと見守っていたマリオだからこそ、今回の映画の完成度になったように思います。